アフターコロナをチャンスと捉える|キーパーソン緊急特別ウェビナートークレポート
introduction
2020年5月26日に開催された「キーパーソン緊急特別ウェビナー」にベツダイ東京 CEOの林が参加しました。新型コロナの影響で多くのイベントが中止となる中、オンラインでの緊急開催となった今回。
「住宅業界はアフターコロナとどう向き合うべきか」をテーマに、今後の住宅業界を担う7名のスピーカーたちと、熱いトークを展開しました。
約3時間にわたるセッションを通して8名が導き出したのは「変化をポジティブに捉え、業界全体で新たな価値をつくり出そう」という、前向きなメッセージでした。
2020年の住宅業界は、デジタルシフトへの対応が必須に
トークセッションの司会を務めたのはダンドリワークスの加賀爪氏。最初のテーマは「2020年の住宅業界の変化予測」です。サンプロの青栁氏、SOSEI Technologyの乃村氏、セカイエの髙間舘氏と林の4名で意見を出し合いました。
セミナー実施中、リスナーに対し「オンライン商談をやったことがあるか?」という質問を投げかけたところ、「ある」が56%、「ない」が44%という結果も。
これらも踏まえ4名が共通して説いたのは、業界全体としてデジタルシフトへの対応が必要不可欠であるということでした。
―マーケットで起きている変化とこれからやるべきこと
青柳さん
広告の出稿量がWEB媒体へ移行する流れがありますが、今回のコロナを受けてそのスピードがより加速するだろうと感じています。これは中小企業にとって大きなチャンス。お金をかけたら集客できる時代が終わり、小さな資本でも大きな信頼を得られる時代にシフトしていくだろうと思います。
髙間館さん
WEBの集客においてはデータをもとに今後の消費行動を見ていく必要はあるかと思います。ただ、やはり業界的にリアルや対面が強いとされているのも現状です。これからWEB集客に力を入れていこうとしている場合、いっきに振り切るよりも、今までの延長線上として取り入れる必要があるでしょうね。
―組織や働き方の変化とこれからやるべきこと
乃村さん
働き方の部分で言うと、住宅業界はそこまで変わらないと思います。
オンライン商談のアンケート結果からも分かるように、業界の中でもITリテラシーの差はこれだけ大きいんです。これからできることとして大切なのは、OB客へのフォローや会社のITリテラシー向上に力を入れること。
実際、この影響下でも業績を伸ばしている会社はあります。減少にフォーカスするのではなく「伸びているところは何をやっているのか?」に注目してみましょう。
林
コロナによって、いい意味で必要のない業務が浮き彫りになったのではないかと思います。今までの「東京か、それ以外か」という一極集中型ビジネスモデルが崩壊し、地方の会社にも可能性が広がるはず。
加賀爪さん
「東京か、それ以外か」の話でいくと、リモートワークが進んで、必ずしも〇〇県で雇用しなければならないという定義は崩れているから、雇用の幅はめちゃくちゃ広がりますよね。
林
組織や働き方の側面でも、マーケットの側面でも、今やるべきことは、個人や会社のプロフィール作りに時間を費やすこと。WEB上で見つけてもらえる会社になるためにはどうすればいいかを考えることが必要だと思います。
消費者ニーズを取りこぼさない。住宅業界全体で新しい価値を生み出していく
続いてのテーマは「消費者の動向どうなる⁉︎」です。消費者動向についてルームクリップの高重氏とTOOLBOXの荒川氏が、住宅を提供する側の視点から松尾設計室の松尾氏と林が回答しました。ここでは「消費者の変化に追いつくことが、より良い文化につながる」という1つのヒントが提示されました。
―消費者のニーズの変化と対応について
高重さん
家にいる時間が増えたことで、今まで家の外で使っていたお金が、家の中に使われるようになりましたね。これは業界全体で住生活をより良くしようという文化をつくっていくうえで、チャンスだと捉えられると思います。
荒川さん
リモート化によって家への興味・欲求が高まったことは間違いありません。zoomなどで知り合いの家を見に来るという感覚は今までなかったと思いますし、その影響かうちでは壁材の売上が上がっています。
当社では、ショールームを“スタジオ化”してzoom接客をしていきたいと考えています。今回感じた「便利な部分」は、アフターコロナでも必ず残るはず。
生活者ニーズの変化を取りこぼさないためにも、デジタルシフトにもっと踏み込んでいきたいです。
高重さん
デジタルシフトというキーワードが出ていますが、これはもともと起きていたし、やるべきだったことが強制的に変化を強いられただけだと思っています。言い換えると、何年かかけて変化するものが、3ヶ月に短縮されたということですね。
―消費者の家選びのあり方の変化
松尾さん
4月半ばからYouTubeを始め、現在チャンネル登録者数が2万人を超えました。
その中で気づいたのは、消費者が本当に知りたいのは「買った人がどうだったか?」だということ。やっぱり多くの人が、失敗したくないという気持ちが強いんですよね。今では広告宣伝費0円でYouTubeから毎日5件くらいの設計依頼がくるようになりました。消費者が欲しいものを届ける1つの手段として、YouTube戦略も必要になると感じます。
林
今までの住宅業界は、お店を開いているけど棚には何も並んでいないという状況だったんですよね。ユーザーのITリテラシーが高まった今、WEB上で住宅が購入できるような流れをもっと作っていけたらいいんじゃないかなと。
アフターコロナでは、もはやデジタルシフトしなくていい理由が見つかりません。WEB上でのセルフマネジメント力をつけ、自社の強みを発信していくことが必要となると思います。
デジタルシフトはあくまでも手段。企業が「何を伝えるか」で選ばれる時代へ
アフターコロナに対するポジティブな意見がたくさん出たところで、主催リフォーム産業新聞社福田さんを交え最後は合計 9名での合同トークセッションへ。デジタルシフトへの対応が必要不可欠という意見が一致した中、アフターコロナでも今までと変わらない「本質」の部分に対する言及がなされました。
乃村さん
「デジタルシフト」は「ユーザーファーストシフト」だと思います。
大前提として、住宅業界が消費者の日常に遅れているということをまずは自覚すること。そして、遅れを取り戻すために「何を届けるか」を考え「自社の強みは何なのか」をきちんと決めることが大切です。
荒川さん
現在インスタグラムのライブ配信も行っていますが、予告なしでも130人くらいの方に見てもらえています。ただ、あくまでも集客のツールではなく、「ファン作り」「知り合い作り」といった目的で使っています。目的を明確にして、デジタルシフトをいかに取り入れられるかが今後の勝敗を分けると思います。
松尾さん
住宅屋と料理人は似ていると思います。昔、料理を作る過程を見せてどちらが食べたいか選ぶテレビ番組があったと思うのですが、まさにそれ。ユーザーが見たいのは「どれだけ凝って作っているか」の過程なんですよね。YouTubeのいいところは、チラシやDMと違ってストックされていくという点。1つ1つのストックが自社のブランディングに寄与するんです。
髙間舘さん
コロナが変革の潮目になりますよね。僕らのようなデジタルネイティブの会社からすると、デジタルシフトは競合が増えるという感覚はあります。ただもう1つの側面として、消費者のパイもそれ以上のスピードで増えるから、今までデジタルを取り入れていなかった事業者さんも、SNSや動画など様々な網の張り方を駆使し手を打っていくべきタイミングだと思います。
青栁さん
潜在顧客をファン化させるには「会社の強み」を伝えることが必要です。
そこから、マインドシェアを取っていくこと。
デジタルに対応すれば、小さな資本でも大きなリーチが得られるので、コロナショックをコロナチャンスに変えることだってできると思います。
林
弊社ではオウンドメディアで施主インタビューに力を入れていますが、信頼を届けてファンを増やすにはここが「本質」だと捉えてやっています。
冒頭で、「東京か、それ以外か」のビジネスモデルは崩壊するという話をしましたが、地方の人にとってこの流れがチャンスであることは間違いありません。
頭を使いながら今回の変化をポジティブに捉えていきたいですね。
高重さん
多様な住まいへのニーズを持った消費者さんと、事業者さんがそのニーズにこう答えるというマッチングのような世界観がすごく大事だなと。
それぞれの事業者が自分たちの特徴をしっかり発信すれば、ほしいと思っている人に見つけてもらえる世界になっていると思うんです。消費者の多様なニーズが満たされる新しい文化を、住宅業界全体でつくりたいです。
福田さん
紙メディアとして地道にやってきた身としては、YouTube事情は嫉妬しますね。(笑)デジタルシフトというキーワードを持ち帰って、オンライン接客やコンテンツ配信など、まずは取り組んでトライ&エラーをしていただけたらいいなと思いました!
加賀爪さん
感想として、このコロナ禍においてシビアな状況にありながらも、これをチャンスと捉えられる有益な情報が多かったのではないでしょうか。また、デジタルへの対応は必要となりますが、アフターコロナでも企業の本質が変わったわけではないんですよね。是非業界全体でこの状況下をポジティブに捉え行動していきたいですね!
まとめ
オンラインでの実施にも関わらず、白熱したトークで盛り上がった今回のトークセッション。住宅業界におけるデジタルシフトの必要性が伝えられました。しかし、デジタルシフトはあくまでも手段であり、本質は「誰に・何を届けるか」を明確化する必要があるということ。今まで以上に自社の強みを考える必要があること、そしてオンライン上で選ばれる会社になるためのヒントが提示されました。
アフターコロナをチャンスとして捉えられるかどうか。今まさに業界全体で新しい価値をつくり出すタイミングなのかもしれません。
今後もベツダイ東京では、さまざまな取り組みを行っていきます。是非、住宅業界の未来を一緒に描いていきましょう。
株式会社ダンドリワークス
建築現場のあらゆる情報をクラウド上で管理し、関係する業者さんと共有するサービス「ダンドリワーク」を手がける。
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株式会社サンプロ
長野市・上田市・松本市・塩尻市に拠点を持つ、新築住宅・リフォーム・不動産などを主核とした住生活事業を展開する会社。
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セカイエ株式会社
不動産・リフォーム業界の常識を覆す不動産一括査定サイト「イエイ」やオンラインリフォームサービス「リノコ」を運営。
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一般ユーザーに向けた内装建材や家具パーツを販売するオンラインショップ「toolbox」を運営し、中古マンションやオフィスのリノベーションを手がける。
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兵庫県を中心に関西エリアにて主に住宅を建築する建築士事務所で、高性能住宅建築家集団として活動する。
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リフォーム産業新聞
住宅リフォーム業界の今がわかるリフォームに特化した唯一の専門紙。
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スピーカー紹介
(株式会社ダンドリワークス 代表取締役)※司会 加賀爪宏介
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(株式会社サンプロ 代表取締役) 青栁弘昭
(株式会社サンプロ 代表取締役) 青栁弘昭
(BETSUDAI Inc.TOKYO CEO) 林哲平
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(セカイエ株式会社 代表取締役社長) 髙間舘紘平
(セカイエ株式会社 代表取締役社長) 髙間舘紘平
(株式会社SOSEI Technology 代表取締役) 乃村一政
(株式会社SOSEI Technology 代表取締役) 乃村一政
(ルームクリップ株式会社 代表取締役CEO) 髙重正彦
(ルームクリップ株式会社 代表取締役CEO) 髙重正彦
(株式会社TOOLBOX 代表取締役) 荒川公良
(株式会社TOOLBOX 代表取締役) 荒川公良
(株式会社松尾設計室 代表取締役) 松尾和也
(株式会社松尾設計室 代表取締役) 松尾和也