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今、売れる 集まる住宅商品の作り方|第6回JGBAセミナー 住宅業界「未来会議」登壇レポート

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INDEX

「JGBA= Japan Good BuilderAssociation」とは、工務店・ビルダー・住宅設備関係の企業が集まり住宅業界を盛り上げるべく発足した、(一社)日本優良ビルダー普及協会が主催する会員限定の団体です。会員企業発展のため、様々なノウハウを共有し住宅業界全体を盛り上げるため、多角的な活動を行っております。

住宅ブランドLIFE LABEL、Dolive が選ばれる理由

目指したのは”選びやすい商品”

林:LIFE LABEL、Doliveがなぜユーザーに選ばれているか?それは、「WHO、WHAT、HOW」を徹底的に突き詰めたうえで商品開発を行っているからです。迷ったときは、必ずこの「誰に、何を、どうやって」の3つに立ち返ります。

十数年前、住宅業界に入ってきた私が1番驚いたのは、棚に商品が並べられていないことでした。客観的に見て、選択肢となるのは、大手ハウスメーカーの住宅か中小企業が独自に設計・デザインした商品のみ。これでは、選びたくなるような商品を探すのが難しいんじゃないかなと感じたんです。

どんなに高級なレストランでもメニューが置いてあるのに、なぜ高額な住宅をメニューもない状態で売っているのか……業界特有のカルチャーもあると思いますが、この違和感だけは払拭できませんでした。

そんな状況を変えたいと立ち上げたのが、LIFE LABEL、Doliveです。ユーザーが選びやすい商品を作り、アパレルのセレクトショップみたいに棚に商品を並べる。そうすることで、「こんなライフスタイルを過ごしたいから」とか「このデザインが気に入ったから」みたいな感覚で家を選んで良いんだよ、というメッセージを発信したかったんです。

商品開発で必要なピントの合わせ方

林:ここまで話したのは、市場が欲しがる商品開発について。つまり「WHAT」の部分です。いくら良い商品を作っても、「WHO、WHAT」の要素が加わらないとユーザーに選んでもらうことはできません。

皆さんは、ユーザーにピントを合わせようとしたことがありますか?

ユーザーはどんなデザインの家に住みたいのか?どういったライフスタイルを送りたいのか?どんな家だったら、早く家に帰りたいと思うのか……?それくらい突き詰めて、ユーザーのことに一生懸命ピントを合わせて考えたことがあるでしょうか?

商品開発のピントを合わせるには、3つのことを考える必要があります。

1つ目は、ターゲットのペルソナです。ペルソナとは、特に重要で代表的なターゲットの人物像のこと。2つ目がターゲットのインサイトで、ターゲット自身も気づいていなかったり、忘れてしまっている趣味・趣向のことを指します。

私の仮説では、人は購買欲求と承認欲求が重なったときに初めて購買すると考えています。たとえば、購買欲求は、新製品の発売や環境の変化、テレビや雑誌で見たとか、友達が持ってるなど。承認欲求は、誰かに見せたい、共感して欲しいっていう内面の部分で、この両方をインサイトと捉えています。

そして、商品開発のピントを合わせるうえで最も重要なのが、ゴールのイメージを共有し「何のために作るのか?」を明確にすることです。

世界観、デザイン、ライフスタイルにおいて、共通言語・共通認識を持つことが、組織やプロジェクトのビジョンに繋がることは間違いありません。

そういったビジョンが、営業マンからお客様、お客様からお客様……と伝わって初めて、「この会社はこんな住宅が作れるのか」、「この会社が作る家に暮らしたら、こんなことができるよね」といったイメージに繋がるのです。

もちろん、オウンドメディアやSNSで自社の発信をしていくことが最重要であるのは大前提。そのうえで、”伝わっていく力”を持たせるために、私たちが作っているような住宅商品が存在していること、そして、住宅商品が描くビジョンが”伝わっていく力”を倍増させ、結果的に潜在層の消費行動・購買意欲をかき立てることにも繋がるということを覚えておいていただければと思います。

"住宅商品"を持つことの重要性と本当の狙い

工務店に必要な”プロダクト化”とは?

林:事業をスケールさせるためには、「突出したクリエイティブ」と「業務効率化の追求」のうち、どちらが必要だと思いますか?

住宅ジャンルで「突出したクリエイティブ」の具体例を挙げると、安藤忠雄さんや隈研吾さん、谷尻誠さんなどの、いわゆる「天才タイプ」ですよね。

何が言いたいかというと、世の中の多くの企業・ブランドが、クリエイティブを突き詰めて戦うのは厳しいということ。ここをまず理解する必要があると思います。

では、私たちは何をするべきなのか?答えは「業務効率化の追求」です。

競合他社がひしめき合うなか、自社のポジションを確保するために必要なのが、マーケティングであり、経営戦略、営業戦略。さらにいうと、業務効率化の最大値を狙ううえで、工務店が考えないといけないのが、”プロダクト化”であり、規格化されたデザインを作り続けるということなのです。


プロダクト化を推進することで、1商品当たりの作業コストや時間を削減し、原価を抑えて利益率を上げることができます。そうすれば、突出したクリエイティブがなくてもビジネスとしてドライブさせることが可能です。

※プロダクト化とは?
製品の企画制作から流通販売までの一連の流れを規格化すること。



プロダクト化を推進した方が良い理由に、インターネットの誕生によって、受け取る情報量が増えたことが挙げられます。

インターネットの誕生によってもたらされたのは、情報共有、データ最適化、合理化の3つ。そんななか、以前よりも圧倒的に情報量が多くなったのに情報が取りやすいのは、レコメンデーション機能のおかげです。

逆に言えば、レコメンデーションされないと情報を届けることができない。つまり、「独自で情報を送り届けなければいけない」といった概念は、捨て去った方が良いということです。

そういった”届ける”ことを補うのが、LIFE LABEL、Doliveが果たす役割の一つでもあります。ユーザーが好きそうなものの延長線上に住宅商品を置くことで、”選ばれやすい商品”を作ることが私たちの強みなのです。

※レコメンデーション機能とは?
Webサイトの閲覧者に対して、おすすめの商品やコンテンツを表示する機能のこと。 購入履歴や閲覧履歴、お気に入りリストの内容などを参考に、ユーザーごとに異なる内容を表示させることもできる。


住宅業界の未来予測

住宅業界3.0が到来!?

林:フランスの小説家 ジュール・ヴェルヌは「人が想像できるものは必ず実現する」という言葉を残しています。では、住宅業界はどうでしょうか?

これまでの住宅業界を振り返ると、住宅1.0〜住宅2.0に分類することができます。

住宅1.0は、バブルが崩壊し「失われた20年」に突入した1990年代頃のことです。先行きの不透明感が増す一方、Windows95や携帯電話の大衆化に伴うインターネットを介したコミュニケーション革新によって、受け身の情報接触スタイルから能動的な検索行動へと変化がもたらされました。

この時代に増えたのが、アーリーアメリカン・ 北欧・ブリティッシュなど、ユーザーの多様化しつつある価値観に合わせ、海外のデザイン要素を取り入れた住宅です。

2000年代に突入すると、IT革命によって各産業における自動化・効率化が進み、大きなパラダイムシフトが起こります。この時代から現在までを表したのが、住宅2.0です。

この時代、ユーザーに最大の変化をもたらしたのは、2007年に誕生したiPhoneでしょう。インターネット体験が手元のスマートフォンで完結するようになったことで、SNSを通じたユーザー同士の情報共有型コミュニケーションが活発化。そうした背景から、ユーザーのライフスタイルへの意識が高まり、「多様な価値観」や「スタイル」が大切にされる時代へと変化しました。

それに伴い、住宅業界でも「ライフスタイル」がキーワードとなり、西海岸・アウトドア・北欧・インダストリアルなど、多様なライフスタイルや好みのトーンから住宅を選ぶ時代へとシフトしています。

そして、まさに今が、住宅3.0への転換期だと捉えています。それに起因するのが、WEB3.0です。

WEB3.0では、リアルと非リアルが一緒の価値になり、非リアルにリソースが流れることでAIの発達が加速します。

AIの発達がもたらすのは、パターン化されたことを超合理的に行うことですよね。つまり、これは私の主観ですが、工務店ではAIによるデザインや設計などの強制的な民主化が進むのではないかと予想しています。そうなると、デザインの価値はないに等しくなり、私たちのようなプレーヤーは、いつか必ず淘汰される未来が訪れるでしょう。

ただ、忘れないでほしいのが、地場で戦ってる工務店の方々がいないと、家は建てられないということ。これが、リアルなのです。

工務店がこれからデザインなどの専門力を磨くというのは、ちょっとナンセンスかもしれません。それよりも、デザインは外部リソースの力を借りて、社内のカスタム力の向上に注力することの方が、選ばれる会社になるために必要不可欠なのではないかと思います。

カスタム力とは、ユーザーの需要に合わせて住宅をカスタマイズしてあげること。つまり、編集力であり、ディレクション能力のことでもあります。

お店のショーケースに並べた商品ラインナップは、あくまでも「うちはこんな家が建てられますよ」といった紹介であり、そのままの状態で販売することに固執する必要はありません。

もっと大切なのは、ユーザーが思い描く「〇〇っぽい家」「〇〇風の家」を実現するために、「気取ったディーラー」ではなく「信頼できるカスタム屋」であることなのではないでしょうか。

設計デザインで優れていることよりも、「センスのある大工」であることが求められる時代が、もうすぐそこまできているのです。


家を売るためには”リファレンス”が必要不可欠

住宅を購入する際、性能やデザインなどをシミュレーションするうえで必要となるのが、リファレンスです。リファレンスとは、参考文献や参考資料、物事に言及すること、参照することですね。

リファレンスがなく、シミュレーションもできていない状態から、「どんな家にしますか?」、「どういった間取りが良いですか?」と打ち合わせがスタートしてしまっていませんか?

今の時代に必要なのは、世の中に溢れかえった情報をうまくキュレーションし、集めることです。上手くキュレーションし、その人のリファレンスになるような状態でコミュニケーションを取っていくことが必要だと考えています。

中小企業がこれから生き残っていくには、内部リソースを増やすことではなく、外部リソースに頼ることが最重要。リファレンス資料を作ることは皆さんの仕事ではなく、私たちの仕事であり、LIFE LABEL、Doliveが担うのはまさにその部分なのです。

これからの時代、もっと住宅業界の経営層同士が知恵を出し合ったり、結託していくことも必要なのかもしれません。

私たちは、「こういうライフスタイルを過ごしたいから、こんな家が良い!」といったシミュレーションの発想で生まれる家づくりをもっと皆さんに楽しんでもらえるよう、今後も積極的に仕掛けていきたいと思います。

まとめ

ユーザーから選ばれるためにLIFE LABEL、Doliveが大切にしていることや、住宅商品を持つことの重要性について語った今回のセミナー。

混沌とした時代を生き抜くためには、今一度ユーザーにピントを合わせ、「ユーザーが自社に求めていることは何なのか?」を突き詰めて考える必要があるのかもしれません。

LDPでは今回お話した以外にも、新しい取り組みやプロジェクトが進行しております。今後も、今までの常識にとらわれない新たなチャレンジをしていきたいと思っていますので、ぜひ一緒に盛り上げていただけると嬉しいです!

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