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工務店・住宅業界の未来を語る『HOPEー工務店のミライ』|新建新聞社発行人 三浦氏×CEO 林による対談レポート
映像はもっとも感情を動かす装置。住宅業界に新たなアプローチを

INDEX
introduction
ZERO-CUBEのテレビCMやLIFE LABELのコンセプトムービー、ショートフィルムプロジェクト「filmbum」など、立ち上げ当初から「映像」というメディアを活用してきたLDP。
なぜ映像に力を入れるのか、映像にはどんな可能性があるのか、それは住宅業界においてどんな価値や意味を持つのか……そんな疑問に答えるためLDP代表の林哲平にインタビュー。これまでの映像プロジェクトを振り返りつつ、LDPのマーケティング戦略について語ってもらいました。
「こだわる」から「委ねる」へ。コマーシャルではない映像のかたち
——これまでLIFE LABELやDoliveでは、さまざまな映像プロジェクトを手掛けてきました。まずはそれぞれの振り返りとともに映像への向き合い方の変化について聞かせてください。
林:まず最初の大きな転機は、ZERO-CUBEのテレビCM。当時の住宅業界では、大きな予算が必要なCM出稿に挑戦すること自体がとても珍しいことだったんですが、腹を決めて1000万円以上の費用をかけて制作することにしました。
——ZERO-CUBEのCM制作時はどのような関わり方をされていたのでしょうか?
林:当時はかなり深く制作に関わっていましたね。「こう撮ってほしい」「こういう風に映したい」など、編集に関しても様々なこだわりを持っていました。
一方で自社のコマーシャル映像をつくり続けることには限界を感じていて。というのも、どうしてもコマーシャル映像って自社の製品の良い部分だけを常に訴えていくことになる。言ってみればかなり営利的なものじゃないですか。そこに対して違和感があったんですよね。「うちが最高だ」と言っているものって、もっとも疑わしいものでもあるわけで。
——その後、2022年には「filmbum」プロジェクトが始まりました。
林:はい。filmbumは、「この商品っていいんです!」と直接伝えるアプローチではなく、「まずはゲストの方と一緒におもしろい映像をその方の感性で撮ってもらって、その映像の舞台が私たちの商品になっている」というアプローチ。いわば相手の物語や思想に乗せて、私たちの商品を登場させるというタイアップの形式です。

——その後、2022年には「filmbum」プロジェクトが始まりました。
林:はい。filmbumは、「この商品っていいんです!」と直接伝えるアプローチではなく、「まずはゲストの方と一緒におもしろい映像をその方の感性で撮ってもらって、その映像の舞台が私たちの商品になっている」というアプローチ。いわば相手の物語や思想に乗せて、私たちの商品を登場させるというタイアップの形式です。
第一弾としてリリースした、MEGUMIさんが企画・プロデュースした「LAYERS」
filmbumの第一弾「LAYERS」は、タレントのMEGUMIさんに企画・プロデュースを全面的に委ねました。彼女の感性を信じて、彼女自身が連れてくる監督、カメラマン、スタイリストといったスタッフたちの専門性を尊重しながら、一切口を出さないようにしたんです。
——「委ねる」という判断をした理由は何だったのでしょうか?
林:ZERO-CUBEのCM制作時に感じた、プロフェッショナルたちが本気で取り組む現場の魅力を、今度は違うかたちで体験したかったんです。私自身の感性や価値観ではない世界観が生まれることに、新しい可能性を感じました。
最近、リリースしたNo.00を舞台にした映像プロジェクト「NIGEMIZU」でも同様で、松田ゆう姫さんに委ねたところが大きいです。2025年5月に上映会を開催して盛況だったり、アジア最大級の短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025」にノミネートされたりした様子を見ていると、これで良かったと思いますね。


「NIGEMIZU」本編はこちら
映像というメディアだからできること
——林さんは映像というメディアの特性について、どのように考えていらっしゃいますか?
林:映像の強い武器は、ストーリーテリングだと思っていて。動いている映像に音楽を付けて物語を伝えるという手法が、おそらく人の感情に訴えかける最もクオリティの高い表現方法だと考えています。
もちろんスチール写真でも「ハッとする」ものはあります。でも、そのビジュアルが動き、かつマッチした音楽を乗せたとしたら、感情の動かされ方は何倍にもなると思うんです。
——人の感情を大きく動かす手段として映像によるストーリーテリングがある、と。
林:さまざまなデバイスで映像が流れてくる現代は、文字や静止画といった情報だけでインパクトを与えることがどんどん難しくなってきています。ビジュアルを動かし、音を鳴らすというエンターテインメント的な要素が、実は一番人間の感情を動かすと言ってもいいでしょう。
社会において映画が存在感を持ち続けてきたことも、そういった側面があるからだと思うんです。映画というエンターテインメントって、生活を送る上では決して必要なものではないかもしれません。でも、それを観たことによって、何かが変わるきっかけになるかもしれない。それが映画の力であり、映像の力なんです。
——「感情を動かす」という手段で、人生に影響を与えていきたいということですね。
林:そうです。「この映像を観る人が、どういう感情を抱くか」という視点は、常に意識してきたこと。商品を売ろうという「セリング(Selling)」の考えではなくて、心を動かそうという「ストーリーテリング」の考えが根本にあるんです。

不安を煽るより、楽しい世界へ誘うアプローチを
——映像と住宅業界の関係についてはどのように考えていますか?
林:映像に限らず、従来の住宅業界のコミュニケーションは、基本的に「不安」という感情を煽るアプローチが多いと感じています。「この家は安全です」「この性能だから安心です」という訴求は、つまるところユーザーの不安に対応しようとするもの。本来の「住むことの楽しさ」や「暮らしの喜び」というポジティブな感情に訴えかけるものではないんです。
例えるなら、学校で生徒に「この勉強ができなかったら社会に通用しないぞ!」と不安を煽る先生よりも、「これができたら楽しいから一緒にやろうよ!」と前向きな言葉で誘ってくれる先生の方が付いていきたいと思えるじゃないですか。
——不安を煽るアプローチではなく、ポジティブな感情に訴えかけていく。
林:そのとき、もっとも感情を動かすメディアである「映像」が威力を発揮します。ストーリーテリングの力を使って「こんなライフスタイルを送りたい」「こんな家に住みたい」というイマジネーションを広げていけますから。
——まさに商品を売ろうという「セリング(Selling)」よりも、心を動かそうという「ストーリーテリング」ですね
林:ファッション業界では、単に「寒さをしのぐための服」ではなく、「自分好みの服」「おしゃれをしたい」という欲求が当たり前に存在します。家づくりもそのような感覚になればいいと思うんです。
一番大事なのは、その買い手の方が、そのデザインでどういう暮らしの送り方を、楽しみ方をするかということです。「より暖かいから」とか「より揺れないから」とか「よりカビが生えないから」ではなく、「嬉しい」「楽しい」といった感情をどうこのブランドで表現できるかが重要なんです。
ポジティブな感情を起点にした家づくりに、住宅市場をシフトさせたい。映像制作は、その一環です。

自分たちへの問いかけが、映像の価値を高める
——工務店が映像制作に取り組む際、どのような点に注意すべきでしょうか?
林:まず「ちゃんと語りきる」こと。オリジナリティを追求して意味がわからないものを制作しても、結局ユーザーには伝わりません。
日本では「感じろ」「察しろ」という曖昧な表現で済ませようとする傾向がありますが、この映像で何を感じてほしいのか、何を伝えたいのかが言語化できていないのであれば、その映像制作自体を見直した方がいいと思います。
——制作前に考えるべきことはありますか?
林:「何を見てもらいたいのか」「どう見られたいのか」「何があれば自分は見たくなるのか」といった問いを自分たちに投げかけることが大切です。
たとえば、ルームツアー動画を作る場合でも、「みんながやっているから自分たちもやるべき」という発想ではなく、これらの問いを自分たちに投げかけてから制作に取り組むべきです。そのような議論や試行錯誤を経た上で制作すれば、より伝わるものになりますし、自分たち自身も満足できるものになると思います。
たとえばLDPでは、既存のルームツアー動画に対して「本当にユーザーが観たいのは間取りなんだろうか?本当に観たいのは、“そこにどんな暮らしの姿があるのか”ではないのだろうか?」と考えました。その結果、モデルハウスに宿泊しながら、その空間でどんな時間を過ごせるかをVlog形式で伝える動画を新しく企画し、制作しています。(近日リリース予定)
——最後に、映像制作に取り組む工務店へのメッセージをお願いします。
林:映像は、住宅という「暮らしの舞台」を購入するユーザーの感情に寄り添うためのツールです。
映像というエンターテインメントと住宅を掛け算した時に、どういう伝わり方をしていくのか。ポジティブな感情に訴えかけ、ユーザーの想像を広げ、欲求を喚起する。それが僕が考える映像の使い方です。
これからは、単に商品スペックや性能を訴求するだけでなく、そこで実現できる暮らしの楽しさや喜びを伝えていくことがますます重要になるでしょう。「意味のあるもの」「伝えたいことが明確なもの」を作り続けてほしいと思います。
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