アフターコロナの景色と次の10年|住宅業界インフルエンサートークセッション
introduction
2021年7月1日(木)に行われた株式会社マイホム主催のオンラインセミナー「住宅業界インフルエンサートークセッション」にCEOの林が参加しました。「アフターコロナの景色と次の10年」について、集客やコストの最適化、商品のあり方などに触れながら、本音ベースで熱い議論を交わしました。今回のセッションでは、「集客の目的を明確にし、一人ひとりのリテラシーを向上させることで、自社にとってベストな選択をしていく必要があるのでは」という問題提起とともに、「住宅プレイヤーが一丸となって変化に対応していこう」という前向きな想いが語られました。
大切なのは「集客の目的」を明確にすること
プライベートでも住宅業界の未来について熱い議論を交わすことが多い4名。今回は、「住宅プレイヤーたちがもっとラフにアイデアを共有できる場を作っていきたい」という想いのもと、様々な視点から意見を出し合いました。最初にテーマとして挙げられたのは「そもそも集客とは?」についてです。
何のために集客をしたいのか?
乃村さん
お金をかけても集客できない厳しい時代となり、更に「集客できたとしても受注に繋がらない…」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。原因は、コロナ禍における急激なDX化によって消費者が得られる情報量が増加し、「お客様のニーズと商品のマッチングがうまくできていない」ということが考えられます。この流れに巻き込まれないためには、他社に負けない強みを持ち、「ここにお願いしたい」と思わせる必然性を作ることが、集客するうえで必要となるでしょう。
青栁さん
私が集客において意識しているのが、フロー型か、ストック型かの2点です。言い換えると、反響が一過性なのか、継続性があるのかということですね。従来住宅業界では、「他社の成功事例を真似すれば結果が出せる」という風潮がありましたが、それは短期的なもので終わってしまうことが現実です。短期的と中長期的、両輪のバランスを取りながら、継続して反響が得られるような取り組みをしていく必要があると思います。
林
そもそも住宅業界では、「販売促進のための集客」と「広報戦略のための集客」を一緒に考えてしまっている人が多いのではないかと感じています。住宅の価値を売るための「販売促進」と、会社や商品をブランディングするための「広報戦略」は、本来部署も違えば手法も全く異なるのです。だからこそ、絶対に切り分けて考えたうえで、今一度「集客の目的」を明確にする必要があるのではないでしょうか。
会社の規模やビジョンに応じた適切な対応を
加賀爪さん
中小企業の場合、月に10万円ほどしか広告予算がかけられない…という話をよく聞きます。もしその状況で売り上げを倍にしたいと考えているのであれば、注力すべきは「OB紹介」一択なのではないでしょうか。なぜなら、DX化が加速したことに伴って「人と人との関係構築」の部分が、今まで以上に会社としての強みになると感じているからです。ただ「紹介」という陳腐なものではなく、OBさんから「この会社を支えていきたい!」と思ってもらえるレベルを目指す必要はあるかと思います。
乃村さん
私も加賀爪さんと考えが似ていて、その場合10万円を社員に渡して、積極的にOBとのランチ会を開催させます。大切なのは、会社の規模感に応じた最適なコストのかけ方があるということです。DX化のリスクとして挙げられる「顧客軽視」に対して徹底的に逆張りすることで、一件の受注からその周りのコアを厚くするという戦略が最も有効だと考えます。まずは、その土地のナンバーワンになることで、他社から「あの会社には勝てない」と思われるようになりたいですね。
林
少し違った視点なのですが、私ならまず商品開発を行います。なぜなら、「商品がない状態で集客しても意味がない」からです。住宅業界に入ってきた当時、お店が開いている状態なのに商品が並んでいないことや、クリエイティブというものさしが全くないという点に大きな違和感を感じました。商品開発において常に見ているのは、エンドユーザーです。「こんなものがあったらいいな」を提供し続ければ、お客様は自ずとついてきてくれると信じています。もちろん、他と比較した際に、値段に対して価値を感じ、「コスパがいい」と思ってもらえるかも大切な要素だと思います。
青栁さん
会社の規模を拡大していきたいという想いがあるのであれば、「向こうから来てくれる形」を作ることにコストをかけるべきではないかと思います。そのうえで必要となるのが、「スキルとセンスを掛け合わせたブランディング」の考え方です。建築業界において、スキルがある方は多い反面、センスを兼ね備えている方が多くないのが課題だと感じています。もちろんスキルは必要不可欠ですが、「一般化されやすい」というリスクも考えられるでしょう。一方で、センスは競合が生まれにくく、それ自体が会社のブランディングにも繋がります。両方のバランスを取りながら、中長期的なブランディングの視点をしっかり考える必要がありますね。
コロナ環境が改善したあとのビルダー業界に必要なこと
集客の目的や、商品のあり方などについて、それぞれ違った視点からの意見が出たところで、話題は「アフターコロナの住宅業界」というテーマへ。デジタルシフトに対応していくために必要となる考え方や、具体的なアクションプランが提示されました。
社会や消費者の変化に合わせた柔軟な対応を
加賀爪さん
DX化が進むことで業務の効率化が図れるのは間違いないですし、今後どこかの段階でブレイクスルーすることも予想されます。ただ、同時に自覚しておきたいのが、「全ての会社で同じやり方が通用するとは限らない」ということです。組織として完成されている会社にとってDX化は必要不可欠ですが、現状規模が小さいことを強みしている会社は、強みをあぶり出したうえで、自社に合った取り組みを行うことが大切だと思います。
青栁さん
ここ最近、YouTubeを始められた会社も多くあるのではないかと思います。コロナのおかげで、閲覧後に反響がとれる一連の流れが出来上がり、今後動画が集客の入り口を広げる一助になることは間違いないでしょう。YouTubeのようなストック型の集客をするうえで一番重要となるのが「数値管理」です。目標に対してどういった状況なのかを数字で把握することによって、どこに何を投下すべきなのか、目標に対して何が足りないのかが明確になります。感覚でやって自己満足で終わってしまうのは勿体ないので、しっかりと数値管理をすることで健全な経営に繋げていきましょう。
乃村さん
コロナの影響で、自分もお客様も「面倒くさがり」になり、今までトレンドだった「丁寧に暮らす」というテーマが弱くなってきた気がしています。家を作ることや暮らすことに対しても、単純な効率化だけでなく、タイムパフォーマンスを重視し、今まで以上にシンプル且つ合理的にものを見て判断する方が増えていくのではないでしょうか。かけた手間に対してそこまで喜んでいただけない…というミスマッチが発生しないように「ユーザー目線での対応」をとっていきたいですね。
林
これまで様々なブランドとコラボしてきた中で、ライフスタイル系のコンテンツがないと、消費者に刺さりにくくなってきているな…と感じています。今後は「ファッション×住」、「食×住」のような、「衣・食・住」のクロスオーバーがより一層加速するでしょう。なぜなら人は、自分の頭でシミュレーションができない限り、おしゃれな暮らしや楽しい暮らしを実現することができないからです。それらを発信する手段としても、オウンドメディアは必要不可欠だと考えます。ただし、何でも発信すればいいという訳ではありません。最近よく思うのが、「とりあえず施工事例をホームページに掲載しておけばいい」と考えている会社が多いのでないかということです。施工事例だけでなく、会社として作りたい家のイメージを掲載するなど、どんな情報があればユーザーに選んでもらえるかを常に考えながら発信をしていきましょう。
チームで進める意識とともに、経営リテラシーの向上を
加賀爪さん
最近思うのは、成功している会社が分かりにくく、「成功している」と言われている会社でさえも、本質を見抜けていないのではないかと感じることが増えてきました。これから必要となるのは、コンサルに頼り切るのではなく、経営者一人ひとりが知識をつけていくことだと思います。IT企業はツール提供だけ、コンサルは指示だけ…といった垣根がなくなり、「業界全体で一緒にやっていこう」という考えが当たり前になってほしいですね。
林
住宅業界に入ってきた当時、業界内にコンサル会社が多いことに驚いたことを覚えています。今後はコンサルも、プレイヤーとして現場に入っていくべきだと思います。どんな立場であっても、指示するだけでなく、「ともに」作っていこうというチーム感が、今後の住宅業界には必要なのではないでしょうか。また、エンドユーザーに対しても、自社のメディアを通じて、暮らしの中で新しい発見をしてもらえるような発信を続けていきたいと思います。
青栁さん
アクションを起こしたいが人的・資金的リソースが足りない…ということであれば、市場や業界を俯瞰して見ることができるような人材を新たに採用するのも一つのやり方です。外部に頼るだけでなく、販売戦略、広報戦略を考える機能を社内で内製化することによって、会社の中長期的な成長に繋げていけるのではないかと考えます。
乃村さん
他の業界と比較したときに、扱う商品の金額に対して、経営者のリテラシーやセンス、経営能力の乖離が大きいことが住宅業界の課題だと感じています。規模が大きくなるにつれて倒産リスクが高まる…といったケースもたくさん聞いてきました。大切なのは、コンサルの言うことを全て鵜呑みにするのではなく、自らがリテラシーを高めたうえで判断していくことではないでしょうか。知らず知らずのうちに伸び悩む方向に選択を重ねてしまうところに対して、少しでも気づきを与えられるような場が増えていけばいいなと思っています。
まとめ
今回も、本音トークが満載で大いに盛り上がったトークセッション。アフターコロナにおける社会や消費者の変化に対応しながら、自社に合った取り組みを行うことの重要性が多く語られた中、最後には「住宅プレイヤーたちがもっとラフに意見を交わし合うことで、業界全体をよくしていこう」という前向きなメッセージが伝えられました。今後も、住宅業界の未来についてポジティブな意見を出し合える今回のようなセミナーを、定期的に開催していく予定です。住宅業界が一丸となり、ともに変革していけるよう、ベツダイ東京としても様々な取り組みを行っていきたいと思います。是非私たちと一緒に、住宅業界の未来を描いていきましょう。
株式会社ダンドリワーク
「現場とともに、走る鳥」のスローガンのもと、建築現場の施工管理アプリ「ダンドリワーク」やマンション工事の予約管理アプリ「ITENE(イテネ)」を提供。
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株式会社マイホム
家づくりでくらしの想いをカタチにするところから引き渡しのあとまで、ずっと一緒に寄り添うマイホームのアプリ「マイホム」を展開。
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株式会社サンプロ
長野市・上田市・松本市・塩尻市に拠点を持つ、新築住宅・リフォーム・不動産などを主核とした住生活事業を展開する会社。
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スピーカー紹介
株式会社myhm founder 乃村一政
株式会社myhm founder 乃村一政
株式会社サンプロ 代表取締役 青栁弘昭
株式会社サンプロ 代表取締役 青栁弘昭
株式会社ダンドリワーク 代表取締役 加賀爪宏介
株式会社ダンドリワーク 代表取締役 加賀爪宏介
BETSUDAI Inc. TOKYO CEO 林哲平
BETSUDAI Inc. TOKYO CEO 林哲平
ファシリテーター
株式会社エンクランプ 代表取締役 服部公一