工務店・住宅業界の未来を語る『HOPEー工務店のミライ』|新建新聞社発行人 三浦氏×CEO 林による対談レポート
INDEX
introduction
2022年9月20日発行の「新建ハウジング」にて、株式会社新建新聞社社長で新建ハウジング発行人の三浦祐成氏と工務店・住宅業界のキーパーソンが対談する『HOPEー工務店のミライ』に、CEOの林がゲストとして出演しました。
対談テーマは、工務店・住宅業界の未来について。これまでの常識にとらわれないクリエイティブの必要性に触れ、具体的な商品戦略や暮らしの提案について語りました。
新型コロナ、ウッドショック、資材高騰、ウクライナショックなど、誰もが予想もしなかった“危機”が次々と起こるなか、今後生き残っていくためには、何が求められるのでしょうかー。
対談で語られた内容から、未来への種をまくヒントを見つけていただけると嬉しいです!
工務店に必要なブランディングとは?
三浦:林さんは、住宅業界の現況をどう捉えていますか?
林:一言で言うと、飽和状態だなと。以前は、頑張り次第で中小零細企業にもチャンスはありましたが、今は大手ハウスメーカーばかり目立っている印象があります。
三浦:ブランディングの部分で、両者の差が広がっているということですね。工務店に求められるブランディングとは、どういったものでしょうか?
林:私が考えるブランディングは、マーケティングとイコール。すなわち、営業戦略のことです。だからこそ、会社のポジショニングや価値を高める動きは、必ず営業戦略の延長線上にあるべきだと考えています。自分たちは何を売りたいのか、売りたい商品はどれくらいのニーズがあるのか。ブランディングのスタートは、これらを突き詰めることだと思うんです。
三浦:なるほど。看板を作る前に、売るための仕掛けが必要ということですね。そこを突き詰めることで、結果的にブランディングができていく。つまり、林流のブランディングは商品開発にあるということですか?
林:そうですね。ブランディングは全てマーケティング、営業戦略、経営戦略のためにあるものだと思っています。だからこそ、PRしやすい商品開発、広告しやすい商品開発をすることが、取っ掛かりを作るために一番大切なことだと感じています。
売れる商品開発とユーザーへの届け方
三浦:工務店と比べて大手ハウスメーカーの方がブランド戦略がうまくいっているのは、どうしてですかね。
林:住宅購入の際に最も重視されるのが、信用だからだと思います。大手ハウスメーカーは、総合展示場やマス広告など、たくさんの面を取ることで信用を得ているんですよね。
この面の多さこそが、ユーザーが選ぶ基準となる「信用度の高さ」につながるのではないかと思います。
実際に、「工務店もSNSなどでもっと発信力をつけていこう」と叫ばれていたのが、今から5年〜8年くらい前の話。ただ、結局うまくいっていないところが多いからこそ、差が広がるばかりなんだと思います。
三浦:そんななか、工務店が今やるべきことはなんだと考えますか?
林:やはり、商品開発ですね。工務店が大手ハウスメーカーに勝てるとしたら、商品だけだと思うんです。売りやすい商品やニーズのある商品を開発して、多くの人に届ける。これに尽きると思います。
三浦:林さんが考える、売れる商品とはどんな商品ですか?
林:見た目のデザインにこだわった商品ですね。「この家に住むことで、こんなライフスタイルが描けるんだ」といった気持ちを想起させるような商品でないと意味がない。
そのためには、日本全国どの工務店でも建てることができて、叶えたいライフスタイルや思想を形にした規格住宅を開発することの方が、ずっとニーズがあることだと感じています。
三浦:今後は、ベネフィットが伝わるような商品開発と訴求が求められるということですね。ただ、工務店が規格住宅を売りたがらない現状があるのも事実。その点は、どうお考えですか?
林:そもそもの問題は、家を売りたいのに、まずその家そのものが棚に並んでいないことであって、ここにもっと疑問を抱くべきだと思います。
住宅業界って不思議で、家を商品として捉えてないんですよ。まず、何もない状態からお客様と商談をスタートさせる。でもそうじゃなくて、まず先に商品を作るべきだと思うんです。
三浦:あの企業のキャッチコピーのように、まずは「”あったらいいな”をカタチにする」ということですね。
林:そうです。例えば、映画館に行ってから見る映画を選ぶ人はほとんどいないですよね。人の消費行動でいうと、事前にこれが見たいとか、あれを食べたいって決めてから行動するのが普通なのに、住宅業界だけそれができていない。
「うちで家を建てるのにふさわしいお客様か判断してから」みたいな姿勢はもっての外で、もっと手の内をさらけ出して、「将来こんな家に住みたいね」とか、「ああいうデザインがいいね」といったユーザーの思いを引き出すことこそが、住宅プレイヤーの本来の役割なのではないでしょうか。
目指すのは"参考にされる家"
三浦:日本の家の建て方って変わっていますよね。本当は商品を選ぶべきなのに、商品がないから、会社を選ぶ。そこがそもそもミスマッチなのかもしれないですね。
家や暮らしについて考え始めるのも、家を建て始める直前からで、慌てて勉強しても間に合わない。本当はもっと潜在的な段階から、将来家をどうするか考えられるようなアプローチができたら良いのかもしれません。
林:そのためにも、もっとユーザーにとって参考となる資料がたくさん必要だと思います。既にルームクリップやインスタグラムで参考を集める方も多いですが、部分的にしか切り取られないので、クリエイティブデザインまではできないんですよね。
住宅業界は、リファレンス(参考資料)を作らない業界。相変わらず、一から注文住宅として家を建てることが正だという考えが強く、規格住宅のような同じデザインの家を売ることにネガティブ。だから、消費者もどこかを変えなきゃいけない、私の家はここが違うんだって……でも果たして、そうやって家づくりをすることが正しいのか?ということです。
三浦:そうではなく、多くの消費者が参考にしたくなるような商品を増やしていく必要があるということですね。
林:一生懸命それをやり続けているのがLIFE LABELであって、私たちが作る家が、これから家を建てる人の参考になれば良いと思っています。
規格通りに建てなくても良いですし、たとえ真似されたとしても、「LIFE LABELっぽい商品がたくさん建ってるね」と言われることの方が、私たちからすると、しめしめと思ったりするわけです。
参照されるような家を世の中に広めていくことが、私たちのミッション。住宅のスタンダードを目指すには、たくさんのリファレンスが存在しないとだめですからね。
三浦:参照される家を増やす。おもしろい考えですね。
林:もっと言うと、ユーザーからの信用を獲得するためには、既に信用度の高いコンテンツを加えることが大切だと思っています。
それが、私たちが力を入れているブランドとコラボレーションした住宅の開発です。
大手ハウスメーカーに勝つためには、一般のユーザーが知っているブランドやクリエイティブディレクターなどと一緒に家を作ることで、信用度を引き上げたり、親和性を底上げする力をつけていくことが必要不可欠だと考えています。
あくまで入口を広げていくことが目的であって、出口は違う商品であっても良い。好きなように変更してもらって構わないし、カスタムは工務店さんの手腕にお任せしたいと思っています。
三浦:そうなると、工務店の立ち位置はカスタマイズのプロというイメージですね。
林:そうですね。実際に商品を開発するうえで、社内で一番の壁となるのは、営業と設計との衝突だと思うんですよ。
今は、売ることにストレスがかかりすぎている気がするので、売ることがもっと簡素化できれば、工務店はカスタマイズに注力できるのではないかと思います。
ユーザーが参考にしたくなる商品を、どれだけ棚に並べることができているか。ここが、今後生き残れるかどうかを左右する、ポイントになるのではないでしょうか。
まとめ
工務店・住宅業界を知り尽くした2人だからこそ話せる、ディープな話題で盛り上がった今回の対談。こちらの対談の全文は新建ハウジングの定期購読者のみ電子版にてお読みいただけます。
厳しい時代を生き抜くための新しい視点や、ヒントとなる内容がたくさん語られているので、ぜひチェックしてみてください!
新建ハウジング 定期購読者はこちら
新建ハウジング 定期購読のお申込みはこちら
新建新聞社社長 新建ハウジング発行人 三浦祐成
新建新聞社社長 新建ハウジング発行人 三浦祐成
LIFE LABEL / Dolive主宰 林哲平
LIFE LABEL / Dolive主宰 林哲平