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「SEAWARD HOUSE PROJECT」がつくりだす住宅業界の転換点。OCEANS統括編集長・原氏×Dolive主宰・林 対談

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OCEANS統括編集長

OCEANS統括編集長

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Dolive主宰

Dolive主宰

常に"半歩先”を歩み続けてきたライフスタイル誌が「住宅」を編集する。

ーーまずは今回、OCEANSとコラボレーションした背景を教えてください。

林:実はDoliveを立ち上げた当初から、OCEANSはコラボレーション先として名前が挙がっていたんです。
タイアップするブランドのアイデンティティを解釈して住宅というプロダクトに昇華するのがDolive。そうしてつくった住宅を増やしていって、、ユニークなプロダクトが並ぶ”住宅のセレクトショップ”のような存在になりたいという想いを持っていました。
だからこそ、多くの日本人が憧れる西海岸の雰囲気を住宅プロダクトとして表現するならば、OCEANSは外せないと思っていました。OCEANSは、アメリカ西海岸のデザインやカルチャーをわかりやすく発信しているメディアですからね。そして、数年前にお声がけさせていただき、プロジェクトを進めてきたんです。

原:OCEANSって「ファッション誌」というよりは「ライフスタイル誌」なんですよね。服はあくまでひとつの要素であって、海があるライフスタイルを丸ごと体現することが僕たちのスタンス。でも、これまでメディアとして編集してきたのは情報やコンテンツといったソフト面に限定されていました。これからは、それらを実感できるハード面も編集したい、メディアとして自分たちの世界観を表現できる場をつくりたいと思っていたんですよね。だからこそ、今回住宅プロダクトをつくることが決まってとても興奮しました。だって、服や食べ物、家具……ライフスタイルをもっとも編集できるパッケージが「家」ですから。「これはおもしろいことになるぞ」と思いましたね。

林:メディアってトレンドを提案して、つくる存在じゃないですか。だから、OCEANSが「西海岸といえばこんな暮らし!」と提案できたら、それがユーザーにとったらわかりやすい指標になる。Doliveとしても新しいトレンドやカルチャーを提案できるのでワクワクしていました。だから商品開発にあたっては、トレンドを生み続けてきたOCEANSの感性に身を委ねていましたね。

原:OCEANSの価値は、常に半歩先の世界を提案し続けることにあると思っていて。自分とかけ離れすぎず、手を伸ばせばできる範囲で「こんな素敵なことができるよ」と伝えていく。その提案が受け入れられたとき結果としてトレンドが生まれる。たとえ時代が変わっても、その時々の”半歩先”を見せ続けてきたからライフスタイルメディアとして長い間展開できたんだと思います。

原:たとえて言うなら、インフルエンサーのように瞬間最大風速的に局所的・一時的なトレンドを巻き起こすのではなく、そよ風をずっと吹かせている存在。住宅というプロダクトを通じて「こんな暮らしって気持ちいいよね」と伝え続けることができれば、きっと気に入ってくれる人は一定数生まれてくるはずだと考えています。

林:そこはOCEANSへの信頼感ですよね。いくらインフルエンサーでも特定の個人が「これがいい」と言うのと、OCEANSが「これがいい」と言うのでは受け取る印象が違うというか。OCEANSと一緒だからこそ、トレンドやカルチャーをつくっていけそうだという感覚がありますね。

西海岸のおおらかな雰囲気を住宅プロダクトに取り込んだ。

SEAWARD HOUSE PROJECT

ーー今回リリースされた「SEAWARD HOUSE PROJECT」のこだわりについて教えてください。

林:「OCEANSさんの感性に身を委ねた」とはいえ、ひとつだけ伝えていたことがあります。それが、OCEANSのアイデンティティでもある「海」の雰囲気を取り入れること。

原:「OCEANS」というメディア名が「海」そのものですもんね(笑)。「海」、とりわけ僕らのインスピレーションのもとになっている、LAを中心とするカリフォルニアには、いろいろな要素が入っているんです。たとえば、海沿いの開放感もあるし、実は高い山もあって。それにイノベーションが起こり続ける発信基地にもなっている。要は、さまざまな風景やカルチャーが共存しているおおらかで、風通しがよくて、多様性のある場所なんですよね。そんな雰囲気をうまく住宅としてパッケージングしたいなと思っていました。

林:OCEANSが提案するそんなライフスタイルをどうやってデザインに落とし込むか。そう考えたときに、抜けのある開放感と気負っていないラフな雰囲気がポイントだなと思っていました。

原:ウッドデッキを広く取ったり、採光を重視しているのもそういった考えからですよね。「気持ち良く暮らせるビーチサイドハウス」をイメージしているので、もちろん海沿いに建っていたら絶対気持ちいい風を浴びれるはずなんですけれど、必ずしもそのロケーションじゃなくてもいい。まったりチルしたり、のんびり仕事したりしても構いません。ある意味、”けじめをつけない家”なんだと思います。
OCEANSが、さまざまなスタイルやコーディネートにフィットする白Tシャツやジーンズの魅力を語り続けてきたように、この家もさまざまなシーンを許容する懐の広さがある。

ウッドデッキ・広々としたスペースが特徴
エントランス・梁の上にサーフボードを収納可

林:たしかにウッドデッキで子どもたちが遊んでいたり、リビングで大人たちがチェアにもたれかけてくつろいでいたり。外付けのシャワーで散歩帰りのペットの足を洗うなんてシーンもありそう。さまざまな風景が目に浮かびますよね。OCEANSが提案する西海岸ならではの、まったりしたゆるい空気が流れている。

原:あと細かいところで言うと収納にもこだわっていて。限られた面積の中で収納スペースを確保しつつ、いかにデザインとして昇華させるかを考えて、梁の上にサーフボードをかけられるようにしたり、好きなアイテムやギアをギャラリーのように置けるようにしました。目指していたのは、日常にフィットしながらもかっこいい設え。だって、いくらかっこよくてもハイブランドのコレクションで着られているようなデザイン性が高すぎる服は着こなせないじゃないですか。

林:結局は「その家でどんなライフスタイルを送りたいのか」なんですよね。そのあたりは「ライフスタイル誌」として活動してきたOCEANSだからこそ提案できることだと思います。

ファッションのように、住宅業界にもさまざまな"スタイル"を。

ーー今後の展望や可能性について教えてください。

林:大きな目標を言うと、日本の街並みが変わる一端になったらいいなと思っています。ランドスケープをかたちづくる、もっとも大きな要素のひとつが住宅。でも、これまで日本ってあまり住宅に個性がなかった気がしていて。仮にあったとしても、神奈川県の葉山などロケーションが限られていた。でも、今「SEAWARD HOUSE PROJECT」」のモデルハウスを島根県に建てています。「葉山みたいな土地じゃなくても、こんなかっこいい家を建てられるんだ。こんなライフスタイルを送れるんだ」という認識が広まったらいいなと思っています。

原:西海岸や葉山のような憧れの象徴をローカライズさせていくのは大切で。「あんな場所であんな暮らしを送ってみたい」と思ったとき、その土地に行かなくてもそれぞれ自分がいる場所で実現できたら世界が変わっていくように思うんです。その土地から飛び出して、雰囲気や世界観を届けるのが住宅プロダクトの役割。
これまで住宅を購入するときって、「部屋の数はこれだけ。広さはこれだけ」などスペックや機能で選んでいたじゃないですか。でも、その中で「こういうものが欲しかった」という理想のライフスタイルありきで選択肢をつくってあげることはとても価値があることだと考えているんです。

林:ファッションやフード、エンタメなどは多くの人がメディアからたくさんの情報を得て自分のこだわりを反映させていくんですけど、住宅という大きい買い物ほどこだわらない人が多いのが現状ですよね。

原:それは、まだ住宅に”スタイル”が根付いていないと思うんですよ。ファッションの場合はアメカジやアウトドア、映画でもドキュメントやホラーなどさまざまな”スタイル”があって、それぞれ自分の好きなものを選んでいるじゃないですか。
でも、住宅に”スタイル”が根付いていくのはこれからだと思うんです。まさに今Doliveもさまざまな”スタイル”の家をラインナップしていますよね。まさに”住宅業界のセレクトショップ”のような存在になっている。この動きが広がっていけば、きっと家づくりのあり方も変わると思っていて。10年後に振り返ったとき、きっと「この時期が潮目だったな」と言っているかもしれないですね。
「SEAWARD HOUSE PROJECT」も、ラインナップのひとつとして存在感を放っていけたらいい。他の住宅プロダクトと競合するわけではなく、共存しながら多様性を広げる一助になれたらいいなと思っています。

林:僕も同感です。ユーザーにさまざまなライフスタイルを提案する、取扱店さんにさまざまなライフスタイルをかたちにする住宅プロダクトを提供する。そんな取り組みで日本の住宅業界にインパクトを与えられたらなと思います。

OCEANSとは?

30〜40代男性に向けたライフスタイルメディア。今年で創刊18年目を迎え、洋服や車といった趣味のモノのみならず、アウトドア、ウェルネス、食、家族など、近年は幅広いライフスタイルを提案している。この夏からは、「Feel So Good, Isn’t it?(気持ちよくない?)」をかかげ再スタート。気分よく、居心地よく、そして楽しく過ごすことを至上命題に、引き続き、『OCEANS』らしいファッションやライフスタイルを提案していく。(公式サイトはこちら)