今までの常識は通用しない? Z世代に刺さるのはストーリーを重視した暮らし方提案
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世間で話題になっているホットなテーマをピックアップして、LDP視点で読み解く企画、「TRENDYYY部」。第1回目で扱うテーマは「Z世代」です。Z世代とはどういった層を指し、どんな特徴があるのか。また、ソーシャルネイティブとも呼ばれるZ世代に対して住宅業界はどんな対策をすれば良いのか。LDPの営業事業部でマネージャーを務める田村が解説していきます。
Z世代、その特徴とは?
Z世代は主に1990年後半〜2010年代生まれの若者を指し、2022年時点で10代前半〜25歳くらいまでが対象です。
そのZ世代が今、あらゆる業界で注目されている理由。それは、世界で人口の1/3を占めるようになったといわれているから。その数はミレニアル世代(1981年~1990年代半ば生まれ)を上回るそうで、近い未来に消費者として経済を動かす主役になると考えられています。
ただし少子高齢化が叫ばれる日本国内のZ世代は、総人口の2割にも達していません。とはいえ、消費者や労働者として生きる期間は上の世代より長く、経済活動においては貴重な存在なのです。
彼らの特徴を知るうえでカギとなるのが、生まれた時点でインターネット環境が整っていたデジタルネイティブであり、スマホやSNSを使いこなすソーシャルネイティブであるということ。承認欲求が強く、共感を重視する一方で他者からの評価を気にする傾向があります。
消費行動においては、育った社会環境も関係しています。Z世代はリーマンショックなど不安定な経済状況を目の当たりにしながら成長しました。そのため、重視するのはモノよりコト。娯楽や体験に価値を見いだす傾向があります。
購買においては、商品のストーリーに加え企業の社会活動や倫理観なども検討材料に。また、自己実現や社会貢献に対する欲求が高いという特徴も挙げられます。
そんなZ世代に住宅業界はどんなアプローチをしていけば良いのか、LDP視点でお伝えします。
チラシやただの見学会はもう古い?デジタルアプローチは待ったなし
Z世代は現在10代前半〜25歳くらいということで、住宅を購入するにはまだ早い層かと思います。でも、そう遠くない未来にはコアターゲットになるわけで、準備は大切ですよね?
田村:いわゆる住宅一次取得層は、20代後半から40代前半の方々を指しますので、Z世代はこれからです。ただ、あと3~5年でターゲットに入ってきますし、準備は今からでも遅いぐらいだと思います。
遅いというのは、準備に時間がかかるからですか?
田村:準備の時間もありますが、それ以上に、現在の購買層であるミレニアル世代にもZ世代的な消費動向が含まれるので、今対策ができていないのは遅い、という感覚です。
インターネット社会は、ミレニアル世代が小中学生ぐらいのころに始まりました。青春時代にはケータイやスマホを駆使しており、mixiなどのSNSにも触れているので、情報収集にネットを使うことにも慣れています。
一方、それに気づいて動き出している住宅会社さんもいて、ここ3年ほどでアプローチを変えてきています。今まではチラシを配り、見学会を案内したり総合展示場に来ていただいたり、というやり方が主流でした。でもすでに、ミレニアル世代は従来の手法ではあまり来場しなくなっています。「昔に比べてチラシがあまり効かなくなった」という声も聞きますし、住宅情報誌の大手には、紙媒体を休刊してデジタルにシフトした企業もあります。
そのため、SNSを活用するなどコミュニケーション方法を変化させ、オンライン上での接点を作ろうとしている企業が出てきています。とはいえ、そうやってデジタルシフトできているのは業界の中でも3割ぐらいでしょう。
既に待ったなしだと。それに加えて年々デジタル慣れした層がマーケットに入ってくるのであれば、SNS対応できている会社が3割というのは少ないかもしれません。一方で飲食や小売りなど、他業界ではSNSを活用した販促をよく見ます。住宅業界でその動きが遅い理由は、購買層の年齢が比較的高いからですか?
田村:一理あります。でもそれより大きな理由は、今までは非デジタルのコミュニケーションでも住宅が売れていたからだと思います。あとは、そもそも業界の商習慣がデジタルと遠いんですよね。たとえば工務店と職人さんとのやりとりに、最近までFAXが使われていました。今でもFAXを使用しているケースはあるかもしれません。
最近でこそ「不動産テック」と呼ばれる新進気鋭のプレイヤーが参入し、そこに投資するなど活性化してはいますが、そもそも投資対象になるようなデジタル案件が少ない業界でした。そこで今急にSNSをやれといわれても、戸惑うばかりでしょう。
あとは企業側の問題もあります。経営者が若い世代であれば問題ないと思いますが、50代以上の経営者で、今までの自分たちのやり方でやってきたという会社の場合、急にデジタルシフトすることはハードルが高いかもしれません。
住まいや暮らしを想像できるストーリー提案を
では、その課題をどう乗り越えていけばよいのでしょうか?
田村:ポイントとしては、第一に世代の特性を深く理解すること。年齢が大きく離れれば価値観も異なりますから、コミュニケーション戦略を描くことは容易ではありません。ならば、若い社員さんの考えや見ている世界などをしっかり調べて取り入れ、社内でコミュニケーションをとりながら施策を考えるといった、柔軟性が大事になってくると思います。
SNSなどのコンテンツ作りにしては、何を意識したら良いのでしょうか?
田村:ユーザーさんにとって暮らしを想像できるストーリーがあるかどうかですね。たとえば当社の「LIFE LABEL」や「Dolive」の商品には、一つひとつコンセプトがあります。○○なライフスタイルを送りたい方には○○な家がありますと、モノではなく、コトを提案するストーリーをしっかりつけてるんですね。それが、SNSなどでも高い評価をいただけている理由の一つかと思います。
ストーリーは良質なコミュニケーションを生む
SNSの発信に関してもストーリーが重要ということですか?
田村:Instagramを例に挙げると、商品の概要やメリットを発信するよりも、ライフスタイルのコンセプトが伝わる写真だったり、どういう暮らしができるかを想像できるようなキャッチコピーを使ったりすると効果的だと思います。
イベント開催にしてもただの見学会ではなく、たとえばコーヒー好きの人が集まるというテーマを掲げて、地域のコーヒースタンドに出店していただくとか。業種を広げてマルシェにするという方法もありますね。
そういったフックがあれば、ハウスデザインに関しても「この家はこういう暮らしができるんだな」とイメージが湧くようなコミュニケーションが可能になります。今までは総合展示場に行って、営業マンにヒアリングされてというケースが多かったと思いますが、「○○なライフスタイルを好むのであればこういうデザインもあります」「このデザインならこういう暮らしも体現できますよ」と。そういったコミュニケーションが、Z世代にはいっそう刺さると思います。
デザインの善し悪し以上にストーリーも大切なんですね。
田村:当社の場合も工務店さんからデザインの評価をいただくことは多く、それもうれしいです。ただ、その奥にあるコンセプトですとか、どのブランドと組むとこういうライフスタイルが描けるというストーリーを大切にしており、当社の強みでもあると考えています。
ストーリーはコミュニケーションツールにもなりますから。従来のように住宅のカタログ的なものでは、ピンとこないユーザーさんもいるでしょう。でもさまざまなコンセプトの家が並んでおり、どういうライフスタイルを描きたいかという話ができれば、わかりやすいと思いますし、コミュニケーションもしやすいと思います。モノよりコトを重視するZ世代には、住まい選びにもストーリーをアプローチする。これが今後の住宅業界に求められる考え方なのです。
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手遅れになる前のデジタル世代対策!Z世代攻略法は下記よりダウンロードできます。
田村 友一
田村 友一
広告会社で約5年間働いたのち、LDPにジョイン。広報宣伝チームにて、各住宅商品のプロモーションや新商品開発を担当したのち、営業事業部のマネージャーに。
総合広告代理店で培った知見を生かして、ブランドに関わる各プロジェクトを横断したディレクション業務を行いつつ、延べ500社以上の経営層とのセッションから得た経験値を武器に、さまざまなケースの経営課題に対してコンサルテーションを行う。